当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.163
私のスキーの先生(岩手町出身)が「暖冬予報のときは雪が多い」と言っていたとおりになりました。
子どもたちが大喜びで雪と戯れています。私も子どもの頃は雪合戦をしたり、雪だるまを作ったり、スキーに行ったりして、雪は「楽しい」ものでした。けれども大人になると、雪が降るたびに「道路が渋滞する」とか「雪かきが大変だ」という具合に、雪は「迷惑」なものになりました。
そんな私も還暦をきっかけにスキーを始めてからは、雪が「楽しい」ものになりました。子どもの頃に戻ったわけです。県外からスキーに来る友人もでき、今年も何組か来県する予定です。彼らは口々に「岩手はスキーヤーにとって楽園だ。羨ましい」と言います。
雪が降らない地域から岩手にいらした方は、雪景色を見て「きれい」と感激します(住んでいる我々にしてみれば、「きれい」なだけではすまないのですが)。これはスキー場だけが冬の観光資源なのではなく、雪景色が観光資源になることを示唆しています。
また、農業にとっては山に積もる雪がその年の田畑を潤す「水資源」となります。
雪は「楽しい」、「迷惑」、「観光資源」、そして「水資源」と多様な面を持っています。ひとつの面だけを見るのではなく、その多様性に目を向ける必要があると思っています。とりわけ観光資源としての雪はまだまだ未開発だと言っていいでしょう。知恵を絞りたいものです。