当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.154
3月4日からの第4回岩手町文化財展『北緯40度の仏教文化』では、平安時代の貴重な仏教遺物をご覧いただけます。
奈良時代に日本に仏教が伝来した頃は貴族階級の信仰でしたが、時代が下るに連れて庶民にも広まっていきます。平安時代にはまだ一般的ではなかったようですが、この地域は奥六郡として安倍氏によって治められており、出土品は仏教文化がすでに浸透していた根拠となります。
その当時、盛岡の現在の中心部などは湿地で、人も住んでいない土地でしたから、岩手町がいかに古くから栄えていたか、このたびの展示から想像することができます。
日本の仏教は、縄文時代からの文化も取り入れるなどして独自の発展をしてきたと言われています。岩手町は縄文時代の遺跡も充実していて、出土品を石神の丘美術館では展示してきました。今後、岩手町の縄文と仏教が一本の線に繋がるような研究が進むことを期待しています。
蛇足ながら、私は仏教系の大学を出ているのですが、学んだのは西洋哲学でした。卒業して十数年も経った頃、禅に興味を持ち、「あのとき仏教をちゃんと学んでいればよかった」と後悔したものです。