美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.83」
石神の丘美術館では『斎藤純と旅する ぶらり北緯40°』展を開催中です(9月11日まで)。
岩手町は「北緯40度の町」です。
本展は、北緯40度線上の地域はすべて「仲間」であると考え、東は岩手県普代村から西は秋田県男鹿市までの12市町村を紹介しています。
とはいえ、限られたスペースで12市町村のすべてを紹介することは不可能ですし、網羅的な展示にはそもそも興味がありませんでした。
実際に私が愛車・白馬号(ホンダCB1100EX)で北緯40度を旅し、その紀行文をもとに展示を工夫しています。
したがって、観光案内でもタウンガイドでもなく、「北緯40度の地域を一人のオートバイ乗りがどのように眺めたのか」という内容になったと思っています。
旅を終えたとき、芸術・文化の面において「岩手町は北緯40度の市町村の牽引役だ」と確信めいたものを感じました。
そういう意味で、本展は石神の丘美術館の今後の活動の助走にすぎないと言っておきましょう。
ところで、改めて緯度(と経度)について調べてみました。
緯度は赤道を基準に定められたので、自然の法則が人間の叡知によって実用化されたと言っていいでしょう。
正しい位置を知るには緯度だけでなく、経度も必要です。
経度は人間の叡知を地球に当てはめたものです。
そのため、経度は人間の都合でしばしば基準となる場所が変わったという歴史があります。
今は衛星を利用したGPSによって容易に自分の居場所を知ることができますが、それまでは天体観測(昼は太陽の位置、夜は星の位置)と計算によって計測していました。
計算には、どのような条件下でも正確に時を刻む時計が必要でしたから、その研究と開発も「経度の歴史」には綿密な関係がありました。
これらは博物館の領域ですので、今回は割愛しました。
石神の丘美術館の企画展の恒例で、産直とレストランとのコラボレーション企画もあります。
夏休みは、道の駅石神の丘にご家族でお出かけください。