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芸術監督のショートエッセイ 石神の丘から vol.56

美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。

なお、過去のエッセイをご覧になりたい場合は、
「美術館通信」コーナーよりpdf形式でご覧ください。

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.56」

たまには映画の話を書きましょう。

私は十代半ばまで映画館で育ちました。
これは比喩ではなく、父が勤めていた国劇という映画館の中に自宅があったのです。
だから、私はテレビよりも映画を観て育ちました。

洋画専門の映画館だったので、子どものころからフェリーニ(『甘い生活』など歴史的な名画を残した巨匠で、多くの映画監督に影響を与えています)や007シリーズなどが好きでした。
今思うと、かなり早熟というか、ませた子どもだったようです。
なにしろ、小学生のくせに、ミレーヌ・ドモンジョやカトリーヌ・ドヌーヴに憧れていたのですから。

いろいろな知識を外国映画から得ました。
たとえば、クルマ。
私が小学生のころの盛岡では輸入車がまだ珍しく、フォルクスワーゲン・ビートルを見かけると大喜びをしたくらいでした。
そんな時代ですから、ロータスやシトロエンという名前を知っているだけでも友人たちから尊敬されたものです。

オートバイや音楽が好きになったのも明らかに映画の影響ですし、そもそも小説を書くようになったのも、こういう環境の賜物だったと思っています。

今でも年におよそ30本ほどの映画を観ます(ほとんどが洋画です)。
DVDやテレビで観たものは数に入れません。
映画は劇場で観るものだからです。
ジャズだろうとクラシックだろうと生で聴くコンサートにCDが絶対にかなわないのと同じように、映画は映画館の暗がりの中で大勢の観客と一緒に観てこそ、本当の魅力に浸れるのです。

もっとも、映画館がたくさんある盛岡ならともかく、多くの市町村では映画館で映画を観ることが難しいのが実情です。
岩手町ではプラザあいでときどき映画を上映しています。
とてもいいことだと思います。
同じ空間で、一緒に笑ったり泣いたりするのが映画の大切な「力」なのですから。

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