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芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.157

当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。

 

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.157

 

 石神の丘美術館の〈花とアートの森〉に多くの野鳥が集ってきます。それは、植生が多様で、野鳥の餌となる虫が豊富だからです。数年前に、それまで放置状態だった林を間伐したことで地面に日光が届くようになると、この好環境がますます豊かになりました。

 石神の丘美術館では春と秋に〈花とアートの森〉で野鳥観察会を開催しています。去る4月30日、今年度の第一回が行われ、「日本野鳥の会」の専門家に野鳥の特徴やエピソードなどをお聞きしながら、園内を1時間半ほどかけてめぐりました。今回はキクイタダキやヒガラ、サンショウクイなど20種以上の野鳥を確認することができました(鳴き声だけで、姿は見ていない野鳥もあります)。

 特筆すべきは、昨年に続いて今年もノスリ(小型の猛禽類)の巣が観察できたことです。巣を観察するときは鳥を刺激しないように注意が必要で、私たちは遠く離れたところから高倍率の望遠鏡を使って、声も立てず静かに、卵を抱いているらしいノスリの姿を見守りました。〈花とアートの森〉はノスリにとって子育てをしやすい環境なのでしょう。なお、保護のため、巣の位置は公表していません。

 ノスリといえば、私は現代音楽の巨匠オリビエ・メシアンの『鳥のカタログ』という全7巻のピアノ曲集を連想します。第7巻11番が「ノスリ」なのです。鳥類学者でもあったメシアンは採譜した野鳥の声をもとにたくさんの曲をつくりました。それらはいわゆる「わけのわからない現代音楽」には違いないのですが、ノスリに捧げられた曲だと想って11番を聴いてみると、「可愛い曲だなあ、私たちが観察したノスリそのものだ」と伝わってくるものがあります。

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