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芸術監督のショートエッセイ 石神の丘から vol.115

美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.115」

 

毎年、この時期に書いていることですが、日本では新年と新年度という二度の「切り替え」の機会があります。

もっとも、新年はカレンダー上のものですから、実際には4月が本当の切り替えの時期です。

人事異動、新入学、転職、退職など慌ただしくも何かわくわくする季節でもあります。

 

私はそのいずれとも縁がありませんが、3月が猛烈に忙しかったので、ようやく落ち着きを取り戻したところです。

 

年度末の3月には役所関係のさまざまな審議会や委員会が集中します。

それらに加えて、岩手町文章講座中級編の講師、岩手日報社が主催している文芸誌『北の文学』の選考会など長時間の準備を要する役目も重なってしまい、体が(というよりも脳が)いくつあっても足りないという状態でした。

もちろん、私が編集長をつとめている月刊『街もりおか』の編集作業もありますし、石神の丘美術館の芸術監督という重責もあります。

 

そのように忙しいときでも、どうにか時間をやりくりして、コンサートや美術展に足を運びます。

 

身も心もヘトヘトになったときにコンサート会場や美術館で過ごす時間は、いつにもまして特別な至福のひとときです。

はじめのうちこそさまざまなことが脳裏を去来して気になり、音楽や絵に集中できないのですが、やがて「浮き世」のことを忘れてしまいます。

音楽や美術は「ここではない別のどこか」へ私を連れていってくれるのです。

それは1時間から2時間程度の「心の旅」です。

でも、時間は関係がありません。

その短い旅を経験した後は、ちょっと生まれ変わったような気がするのです。

そして、新鮮な気持ちで「浮き世」に戻ることができます。

それこそが音楽や美術が秘めている「大きな力」のひとつです。

登山やスポーツも同様の力を持っています。

むしろ、日本では美術や音楽よりも登山やスポーツなどでそれを経験している人が多いことと思います。

それはコンサートや美術に触れる場が少ないせいでもあり、優劣があるわけではありません。

 

岩手町立石神の丘美術館は、県北唯一の美術館としてその大切な役割を果たしてきました。

また、美術館ホールでは本格的なコンサートも開催してきました。

 

今年度、石神の丘美術館では工事のため野外展示場を閉鎖しています。

リニューアルオープン後は、間違いなく新しい「心の旅」の場となるでしょう。

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