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芸術監督のショートエッセイ 石神の丘から vol.99

美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.99」

 

ガソリンエンジンと電気モーターの組み合わせによって、ガソリン消費量を大幅に減らしたハイブリッドカー。

その先駆けであるトヨタ・プリウスが、誕生20周年を迎えたそうです。

 

初代プリウスに私は2001年から今年の春先まで乗っていました。

当初は珍しがられ、「盛岡の寒い冬でも駆動用バッテリーは大丈夫ですか?」などと訊かれることもたびたびでした。

 

また、スポーツカーばかり乗り継いできた私がエコカーに乗り換えたので、友人たちが「なんでまた!」と驚きました。

「DOHCも12気筒も今や珍しくない。ハイブリッドエンジンはポルシェもフェラーリも持っていないんだぞ」と応じたものです。

気候異常変動(地球温暖化)や中東情勢など原油が引き起こす諸問題に敏感だった私は内心で「もうスポーツカーの時代ではない」と思っていました。

これは「化石燃料がスターの時代は終わった」という意味です。

 

やがてモータースポーツの世界で、ル・マン24時間耐久レースにハイブリッドカーのカテゴリーができ、電気自動車によるF1レースのフォーミュラEが誕生しました。

「もうスポーツカーの時代ではない」ではなく、「スポーツカーもエコカーの時代」に移り変わってきたのです。

そして、かつては物珍しがられたプリウスが、今では日本で一番売れている車なのですから、世の中、変われば変わるものです。

 

ところで、私はいつかまたスポーツカーに乗りださないともかぎりません。

というのも、私には別の「前科」があります。

前科というのは、大学を卒業するときに「もう音楽は聴くだけにする」とギターを処分したのに、それからほぼ20年後にギターを再開し、今ではバンド活動に熱中し、ギター・コレクションも増えているという事実です。

 

付け加えておくと、環境問題から関心をなくしたわけではありません。

ゴミを増やさないためにマイ箸、マイ水筒を20年以上前から使いつづけていますし、節電が習慣になっているおかげで我が家の電気使用料は平均を大きく下回っています。

冬の我が家は寒いので、室内でも厚着をしています。

 

先日、冬物の衣類を出し、夏物を仕舞いました。

忙しさにかまけてついつい先のばしにしていたのですが、気温の低い日がつづいて、慌てました。

去年着なかったものは捨てるという「断捨離」を今年も決行しましたが、この話はまた別の機会に譲りましょう。

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