美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.87」
いよいよ年の瀬です。
今年の年末は私にとって特別な意味があり、感慨深いものがあります。
実は年が明けると私は還暦を迎えるので、この年末は50代最後の年の瀬なのです。
もっとも、何か特別な変化があるわけではありません。
会社勤めならば定年退職ということになりますが、私はまだまだ働きつづけなければなりません。
もちろん、これは喜ぶべきことでもあります。
数年前から還暦を意識し、さまざまな役職を下りるようにしてきました。
頼まれると断れないという性格のせいで、多いときは20を超える役職を引き受けていました。
岩手県〇〇委員、盛岡市〇〇委員など立派な肩書ですが、いずれも重い責任を担うばかりで、金銭面で生活の足しになることはひとつもありませんでした。
むしろ私の場合は生活を犠牲にすることのほうが多かったといえます。
「私などでお役に立てるなら」という思いで、それらの責務を果たすように努めてきました。
ここだけの話、中には「箔がつく」という理由でそういった役職に名を連ねている方もいるようですが、私は「名前だけの役職」が大嫌いなので、自腹を切って勉強をし、ない知恵を絞り、尽くしてきました。
それらの委員会において私は年齢的には中堅でしたが、どんどん若い人に椅子を譲っていくべきだと思っています。
だから、市や県の担当者には「私の後任は私より若い人に」とお願いをしています。
それらのほとんどを下りたおかげで身軽になりました(まだ岩手県立図書館運営協議委員と盛岡中央公民館審議委員を務めていますが、今期でお役御免となる予定です)。
その分、これからはもう少し岩手町に来ることが多くなると思います。
飲み会にも大いに参加したいと思っていますので、遠慮なく声をかけてください。