美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。
なお、過去のエッセイをご覧になりたい場合は、
「美術館通信」コーナーよりpdf形式でご覧ください。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.68」
新年度を迎えました。
昨年度、石神の丘美術館は1万8000人を超える方々に来館していただきました。
さらに、ワークショップや講座に参加された方を含めると2万人を超えます。
改めてお礼を申し上げます。
私が石神の丘美術館の芸術監督に就任した2009年(平成21年)に岩手町の人口は1万6000人を切りました。
現在は1万4000人くらいです。
6年間で2000人近く減っていることになります。
そういう中で入館者数が前年を上回っているのは特筆に値します。
人口減少が全国的な問題となっていて、その有効な解決策も見出せない中、交流人口を増やすことが各市町村の重要な課題となっています。
文化施設は入館数がすべてではありませんが、石神の丘美術館は岩手町の交流人口の増加に少なからず貢献しているといっていいでしょう。
入館者の傾向を見ますと、他地域からの方はもちろんですが、町内の方のリピーターも増加傾向にあります。
このことから、町民に親しまれていることが実感できます。
また、小中学校の団体鑑賞も確実に増えています。
前にも何度か書きましたが、子どものころに美術館に連れていってもらった経験のある人は、大人になっても美術館へ行くことに抵抗を感じません。
ですから、子どものころに美術館を経験させておくことは大人のつとめだといっていいでしょう。
町制施行60周年にあたる今年度も、石神の丘美術館では盛りだくさんの企画展ならびに講座、ワークショップを予定しています。
まず今年度の幕開けは、古山拓さんの水彩画展です。
古山さんは幼いころを川口で過ごしていますから、岩手町ゆかりの画家でもあります。
古山さんはこの展覧会のために岩手町を何度か訪れ、新作を描いてくださいました。
この機会にぜひご家族そろって、お越しいただきたいと思います。