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芸術監督のショートエッセイ 石神の丘から vol.49

美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。

なお、過去のエッセイをご覧になりたい場合は、
「美術館通信」コーナーよりpdf形式でご覧ください。

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.49」

私は十代のころに『真夏の夜のジャズ』というドキュメンタリー映画と出会いました。
私はその映画にずいぶん影響を受けました。
ジャズをちゃんと聴くようになったのは、もしかするとあの映画のせいかもしれません。

ジャズ講座を開いてほしいというリクエストがありました。
そういえば、昨年はクラシック講座(入門編)を開きましたが、
ジャズ講座はまだ開いていません。
書店に行くと、ジャズのおすすめのCDをまとめたガイドブックや
入門書類がたくさん並んでいます。
ジャズに興味を持っている方がそれだけ多いのでしょう。

「ジャズを聴いてみたいけれど、なかなか聴く機会がない。
だから、講座で聴きたい」という方も少なくないようです。
確かにテレビやラジオからジャズが流れてくることはほとんどありません。
でも、巷でジャズを耳にする機会はけっこうあるのです。
居酒屋さん、お蕎麦屋さん、ラーメン屋さん、文房具屋さんなど
あらゆるところでBGMとして流れています。
それを「ジャズだ」と意識できるかどうかで違うのです。

もちろん、BGMはあくまでもBGMでしかありません。
ちゃんとジャズを聴こうと思ったら、お蕎麦屋さんではなく、
ジャズ喫茶のようなところに行かなければなりません。
ところが、ジャズ喫茶もめっきり減ってしまいました。
私が二十歳前後のころ、盛岡にはジャズ喫茶が
5軒か6軒ありました。今は2
軒だけです。
これは何も盛岡だけの話ではなく、東京などの大都市も含めて全国的な傾向です。

つまり、ジャズを聴きたくても聴ける場所がなくなってきているのです。
ジャズ講座が求められる理由がわかるような気がします。

ただ、ジャズはきちんと膝を揃えて聴いても少しも楽しくありません。
やはり、お酒のグラスを手にしていないとジャズに対して失礼というものです。
お酒が無理なら、おいしいコーヒーくらいはほしいですね。
そんなジャズ講座を開いてみたいと構想を練っているところです。

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