当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.177
4月は出会いの季節ですね。就職や進学などで、新たな仕事との出会い、新たな環境との出会い、新たな学問との出会い、新たな友との出会いが待っています。
出会いは、人と人、人と社会、人と物……などさまざまな領域にわたるでしょう。「出会い」という言葉を聞いただけで、何だかワクワクしてきます。
でも、私にはその「ワクワク」が面倒臭く思えて、出会いを拒んだ時期がありました。そのときの私は「自分はこういう人間だ」という固定観念を持ち、その枠に入らない美術、音楽、衣服、文学などを「今のままの私で充分だ」とシャットアウトしたのです。
時間を無駄にした、と私は後悔しています。毛嫌いなどしないで、目と耳を、いや、脳を外に向かって開きつづけるべきでした。そして今、その間にあえて避けたことども(例えば耽美主義の美術・文学、それに琳派など)を慌てて追いかけています(私が身勝手に排除してきたことどもの何と素晴らしいことか!)。
こんなことがないように、「私には向いていない」とか「私にはわからない」と決めつける前に、何にでも興味を持ってください。
これは人と人の出会いについても言えるかもしれませんね。