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芸術監督のショートエッセイ 石神の丘から vol.44

美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。

なお、過去のエッセイをご覧になりたい場合は、
「美術館通信」コーナーよりpdf形式でご覧ください。

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.44」


昨年の〈イシビ〉10月号に、『クラシック音楽 はじめの一歩』と題した
講演について紹介したところ、思いがけず、たくさんの方にお集まりいただきました。
遅ればせながら、お礼を申し上げます。
クラシック音楽に興味を持つ方が多いことを改めて認識したしだいです。

私は音楽の専門教育を受けたことはなく、単なる音楽好きのひとりにすぎません。
ですから、クラシック音楽を歴史的あるいは体系的にきちんと聴くということもしてきませんでした。
そのため、私が聴いている(あるいは、聴いてきた)クラシック音楽はとても偏っています。

なにしろ、クラシック音楽は
300
年間以上の歴史があり、どの時代にも聴くべき作品があります。
また、地域もヨーロッパ全土に及びます。
日本ではドイツ音楽がよく聴かれていますが、
フランス、イタリアはもちろん、ポーランドなどの東欧諸国、
スウェーデンなどの北欧諸国、そして旧ソ連も含むロシアにも聴くべき作品があります。
それぞれの音楽にもお国柄(民族性)があり、いったんのめりこんだら底無し沼のようなものです。

そんな中で私が特に好きなのは、イギリスの近現代音楽です。
イギリスはヨーロッパ大陸から離れた島国なので、
ドイツ中心だったヨーロッパ大陸の音楽の流れとは違った発展をしてきました。
難解な現代音楽はイギリス音楽にはあまりありません。

日本人の耳に馴染みやすい旋律を持っているのもイギリス音楽の特徴です。
これにはちゃんとした理由があります。
明治時代に西洋音楽を導入する際、日本の音楽の旋律がイギリス音楽と似ていることに注目し、
イギリス音楽を積極的に導入したのです。
たとえば、私たちが日本の唱歌として親しんでいる「埴生の宿」、「蛍の光」、「仰げば尊し」、
「大きな栗の木の下で」はイギリスの音楽です。

これほど日本に近い存在のイギリス音楽ですが、
イギリスのクラシック音楽はあまり聴かれていません。
『惑星』だけで知られているホルストは別格として、ブリテン、エルガー、
ヴォーン・ウィリアムズ、ブリッジ、ウォルトン、グレインジャー、アーノルド、ディーリアスなど、
もっと聴かれてもいい作曲家がたくさんいるのに残念です。

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