当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.147
石神の丘美術館〈花とアートの森〉に斉藤均さんの作品《It blows.》が新たに設置されました。ステンレス製の黄色の塔で、高さが5メートル70センチもあります。この作品は第14回現代日本彫刻展(山口県宇部市)で京都国立近代美術館賞を受賞しています。縁があって、当館で収蔵することになりました。
この作品が面白いのは、見る場所によって、軽やかに見えたり、重厚に見えたりすることです。
試しに、西野康造さんの作品《Harmony with the Breeze 2020》の4本脚の下に立って《It blows.》をご覧ください。作品の向う側の林が透けて見えます(本当です!)。散策路を歩いて近づいていくと、黄色のどっしりとした塔に見えてきます。真下に行って見上げると、螺旋を描く塔の造形美に目を奪われることでしょう。
西野康造さんの「風で動く彫刻」と同じように、彫刻の新たな未来を開いた作品です。写真や動画では伝わりきらない作品の魅力をご自身の目で確かめていただきたいと願っています。