当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.138
石神の丘美術館企画ギャラリーではシリーズ企画「North Wind Project/北から吹く風」の第3回展『〈目と手でみている〉菊池咲 小松崎晃 千葉幸子』を開催中です。
ギャラリーを一回りした後、気持ちがとても明るくなっていました。それから〈花とアートの森〉を歩きました。いつもより足が軽く感じられました。美術にはこういう力があるんだ、と改めて気づいた経験でした。
〈花とアートの森〉は森の中に草花が溢れ、三沢厚彦さんのアニマルズシリーズと西野康造さんの動く彫刻がそれら自然の緑と調和しています。その対照が〈花とアートの森〉の特徴であり、大きな魅力です。自画自賛するようですが、国内でも有数の野外彫刻美術館と言っていいでしょう。
アートゲートに戻った私は、再び企画ギャラリーの作品群を観ました。さっきとはまた違った経験をしました。最初に観たときは造形の独創性や色遣いなどに目を奪われましたが、今度はギャラリーが和やかな笑いに満ちているのです。それぞれの絵がクスクスと、あるいは賑やかに、笑っているのです。私はその声なき笑い声に包まれ、しばし時間が経つのを忘れました。