当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.137
石神の丘美術館に新収蔵された三沢厚彦さんと西野康造さんの作品を〈花とアートの森〉に設置した後、ちょっと不思議なことが起きました。以前からあった石彫について「これ、前からありましたっけ?」と訊かれるのです。実は私も同様のことを感じていました。三沢さんと西野さんの作品が加わったことによる相乗効果なのでしょうか、これまであった作品も新鮮な輝きを放ちだしたのです。
さて、石神の丘美術館アートゲートのホールでは、西野康造さんの《風が語ってくれたこと》を特別展示中です。これは、〈花とアートの森〉に新収蔵された高さ7mの《Harmony with the Breeze 2020》と高さ6mの《Swing in the Air 2020》のおよそ10分の1のサイズながら、それらとはまた違った感動を与えてくれます。風のないはずの室内に設置されているのに、エアコンの微かな空気の流れで繊細な動きを見せるのです。
この小さな作品が展示されたことによって、館内に「現代美術館」の空気が横溢しはじめました。作品が持つ力を改めて感じました。