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芸術監督のショートエッセイ 石神の丘から vol.123

美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.123」

 

今秋、3年ぶりにオートバイで北海道の道南を巡ってきました。
その写真を見ていて、この連載でオートバイのことをまだ書いていないことに気がつきました。
冬には相応しくない話題ですが、お付き合いください。

そもそも私がオートバイに目覚めたのは小学生のころです。
家が洋画専門の映画館でしたので、オートバイに限らず、クルマ、ファッション、音楽などの情報をフランス、イタリア、アメリカの映画から吸収していました。
同年代のまわりの子たちよりも早熟というか明らかに耳年増でした。

決定的だったのは1969年、12歳のときのことです。
私が中学生になったこの年、アラン・ドロンとマリアンヌ・フェイスフル(後にミック・ジャガーの恋人となる)がオートバイを乗り回す恋愛映画『あの胸にもう一度』が公開されました(制作年は1968年ですが、盛岡で公開されたのはその1年後でした)。

12歳の少年がこの映画に夢中になったというのはかなり問題があると思いますが、それには目をつぶって、オートバイの話に転じましょう。
この年はホンダ・ドリームCB750(通称ナナハン)が発売された、オートバイの世界にとって記念すべき年なのです。
CBナナハンは量販車として世界初の空冷4気筒(それまでは単気筒か2気筒が主流でした)エンジンとディスクブレーキを搭載し、最高速は世界で初めての200キロ超を誇りました。
各国のオートバイ・メーカーがホンダに「追いつけ・追いこせ」と競い合うようになり、CBナナハンのスペックが世界標準となっていきます。

国内メーカーから次々と大型オートバイの新型モデルが登場する中(その結果、世界のオートバイ市場を日本のメーカーが席巻します)、免許をまだ取れない年齢の私は、「早く大人になってオートバイに乗りたい」と、なんとも言いようのない焦りを感じながら過ごしたものです。

ところが、中学生になった私にはもうひとつ大きな出会いが待っていました。
吉田拓郎、小室等と六文銭、井上陽水らが従来とは異なる新しい音楽をひっさげて続々とデビューしたのです。
フォークブームの到来です。
私の興味はオートバイからギターへとシフトしました。
高校時代も大学時代もバンド活動に明け暮れて、その間、オートバイのことは忘れていました。

オートバイ熱が再燃するのは、30歳のころです。
31歳で中型自動二輪免許を取得し、小説家としてのデビューも重なって、オートバイが仕事につながります。
小説を何冊も出しましたし、オートバイ雑誌に書いたツーリング紀行も本にまとまりました(まさに「趣味と実益を兼ねて」ですね)。
さらに、40歳で大型免許(かつての限定解除)を取得し、今に至っています。

肝心なオートバイの魅力について書くスペースがなくなってしまいました。
続きはまた改めて。

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