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芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.188

当館が発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純のショートコラムをご紹介します。

 

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.188

 

 今年は村上善男没後20年にあたります。村上さんは私の父が親しかったので、小さい頃から存じあげていました。父から「ユル・ブリンナーが作品をごっそり買っていった」と聞いていましたから、もうそれだけで私にとっては雲の上の人でした。

 もっとも、村上さんは私の家で父といつも酒を飲んでばかりでしたから、「酔っぱらいのおじさん」という印象のほうが強かったのです。村上さんの作品を知り、惹かれるようになったのは社会人になってからですが、ご本人とのお付き合いはありませんでした。

 平成12年のこと。美術書や音楽書などを出している春秋社の編集者が、
「装丁をお願いした美術家が盛岡出身なので、斎藤純さんを知っているだろうかとお訊きしたところ、『知ってるも何も、こんな小さなときから』と……。どなたかわかりますか」
「村上善男さんでしょうか」
「当たり!」
「もう何十年もお会いしていませんが」
「村上先生もそうおっしゃってました」

 その直後、村上さんの個展が開かれていた銀座の画廊を訪れると、ご本人が在廊なさっていました。
「ああ、純君だね。その大きな目だ。君は子どもの頃もその目でぼくをじっと見ていたっけ。変わらないね」

 私を見るなり、数十年ぶりだというのに村上さんはそうおっしゃいました。それからお亡くなりになるまで淡いお付き合いが続きましたが、村上さんの思い出といえば、あの画廊での再会がやはり鮮明です。

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