当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.165
暖冬とはいえ、十分に寒いのが北国です。
この時期はどうしても家にこもりがちになります。私も家で映画のDVDを見たり、ジャズやクラシックのCDを聴いたりする時間が多くなります。そして、この時期はなぜか酒量も増えるようです(苦笑)。
それはともかく、本と過ごす時間も長くなります。
家の本棚には、これまでに足を運んだ美術展の図録がずらりと並んでいます。それらの多くは美術展を観た後に一度開いただけで、本棚に収められたままになっています(実にもったいない)。そんな図録を本棚から適当に抜き出して開いては「ああ、この絵の前では長く立ち尽くしたなあ」とか「え、あの展覧会ではこの絵も飾られていたっけ?(すっかり忘れている)」などと、さまざまな思いに浸ります。
なにしろ適当に選んでいますから、徳川家光も観たであろう狩野探幽の日本画を見たかと思うと、夏目漱石もロンドンで観たであろうラファエル前派の油絵を見るというように脈略も何もありません。
でも、それが楽しくて、長い冬の一日がアッという間に過ぎていきます。