当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.161
開催中の『開館30周年記念展 三沢厚彦 ANIMALS in ISHIGAMI no OKA』に、たくさんの方にご来場いただいています。三沢さんの作品が幅広い年齢層に受け入れられることは認識していましたが、それにしても凄い人気です。
ホールに展示中の《Animal 2018-03(カモシカ)》を見た小学生が、「お山から連れてきたの?」と不思議がっていたという話を聞き、嬉しくなりました。その小学生は〈花とアートの森〉で当館所蔵の《Animal 2018-03B(カモシカ)》を見たことがあるから、そう思ったのでしょう。ホールにあるのは木彫作品で、〈花とアートの森〉にあるのは、それから型をとって鋳造したブロンズ作品です。見比べると同じ作品のはずなのに印象が異なります。日本で(ということは、世界で)この二体を同時に見られるのは、当館のこの展覧会期間中だけですので、どうぞお見逃しなく。
展示室にもいろいろな仕掛けがあります。思いがけない場所に《Animal 2013 B03(ヤモリ・白)》がいるのを見つけられなかった来館者も少なくないようです。ミミズクのアクリル画が展示室の壁の高いところにかかっているのは、《Bird 2020-01B(ミミズク)》が設置されている〈花とアートの森〉の頂上・石神山の標高326メートルに合わせて、床からおよそ326センチメートルの場所にしたからです。そんな悪戯心のある展示を子どもから大人まで楽しんでいただいています。
来館者の声で印象的なのは、「(木彫の)カモシカと目が合った!」です。木彫作品に込められた三沢さんの思いとの交感が生じたのかもしれません。