当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.160
石神の丘美術館では、ANIMALSシリーズで今や注目度ナンバー1の彫刻家 三沢厚彦さんの『ANIMALS in ISHIGAMI no OKA』を絶賛開催中です。
私が三沢さんの作品を初めて観たのは、9年前の2014年秋に岩手県立美術館で開催された『三沢厚彦 ANIMALS 2014 in 岩手』でした。一見ほのぼのとした(あるいは、可愛い)印象ですが、やがてただそれだけではない「何か」に気づきました。展覧会場を一巡して、もう一巡したときの印象が異なることにも驚かされました。背筋が冷やっとするような感覚と言ったらいいでしょうか。これは不思議でした。
石神の丘美術館がリニューアルした際、幸運にも(本当に奇跡的なご縁に恵まれて)三沢さんの作品を〈花とアートの森〉に収蔵することができました。その作品たちからも、やはり岩手県立美術館で観たときと同じような相反する印象を受け、またしても「なぜだろう」と自問自答しています。
その答えはまだ出ていません。というよりも、そんなふうに「観る者」を困惑させるのが(この困惑がまた愉快なのですが)三沢作品の特徴であり、魅力なのかもしれません。