当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純の
ショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.139
9月に弦楽四重奏団ラトゥール・カルテットのコンサートを予定していましたが、岩手県独自の緊急事態宣言が出ていたこともあり、開催を見送る決定をしました。これで2年連続の中止となります。
生演奏を聴く機会の少ない岩手町で、音楽ファンのみなさんに楽しんでいただきたいと思い、響きのいい石神の丘美術館ホールで室内楽のコンサートを10年あまり続けてきましたが、本当に残念です。
音楽と美術は表現の方法こそ異なるものの、根っこの部分は同じひとつの芸術だと思っています。ホイッスラーの絵画《青と金のノクターン》を観ていると静かなピアノ曲が聴こえてくるようですし、ムソルグスキーの組曲《展覧会の絵》は色彩感が豊かな音楽です。
芸術というと何だか雲の上の存在のようですが、私たちの心にあるときは優しく語りかけ、あるときは激しく揺さぶるものの総称にほかならないと思います。