当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純のショートコラムをご紹介します。
****************************************************************************************
石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.134
好評開催中の『プリン同盟20周年記念展』が5月30日に終了します。プリン同盟は岩手の現代美術の最前線で活躍している美術家らが、「プリンをテーマにした作品をつくる」という約束事だけでつながっている「ユルい」美術団体です。一見、ふざけているようですが、決してそんなことはありません。ひとつひとつの作品のクオリティの高さは一目瞭然(妙に心が穏やかになる作品があるのですが、それは亡き娘への鎮魂の思いが込められた作品でした)。
思いかえせば、『プリン同盟10周年記念展』が開かれたのは2011年の今頃でした。東日本大震災のさなかと言っていいでしょう。あのとき、多くの来館者が笑顔で帰られるのを見て、美術館の(そして、もちろん美術の)役割を再認識させられたものです。美術館は「心の病院」なのです。
そして、今回は何の因果かコロナ禍のまっただなか。『プリン同盟20周年記念展』はコロナ禍で疲れ切った心を癒してくれました。これからの季節は〈花とアートの森〉の花たちが優しく迎えてくれるでしょう。