当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純のショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.129
先月号で紹介した三沢厚彦さんの作品とともに新たに設置されたのが、西野康造さんの《Harmony with the Breeze 2020》と《Swing in the Air 2020》です。西野さんはニューヨークのワールドトレードセンター(4WTC)のエントランスロビーに巨大な作品《SKY MEMORY》が設置されたことで世界中に知られるようになりました。
石神の丘美術館〈花とアートの森〉に設置されたのは、どちらも巨大な鳥の骨格標本を連想させる形状で、前者は四本脚の上で、後者は一本脚の上で、優雅に羽ばたいています。風のない日でも羽ばたいているので、来館者のみなさんから「モーターで動いているのでしょうか」と質問を受けますが、どちらも自然の風の力で動いています。これは軽くて丈夫なチタン合金を用いていることと西野さんならではの緻密な計算と技術の結晶といえます。
とてもダイナミックな作品であると同時に、とても繊細な作品でもあります。見ていて飽きることがなく、時間が経つのを忘れさせます。ある意味で、哲学的な作品だとも言えそうです。