当館が毎月発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純のショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.126
およそ2年間に及ぶ工事を終え、石神の丘美術館の再整備が完了しました。当初は7月1日にリニューアルオープンの予定でしたが、コロナ禍の影響による工事の遅れと感染拡大防止の観点から、9月1日にオープンする運びとなった次第です。
そもそも美術館では鑑賞中のお喋りを慎むことが決まりですから、飛沫感染の心配はありません。また、よほどの人気展でもないかぎり、人が過密になることはありませんが、新型コロナウィルスという人類初の経験に際してさまざまな試行錯誤が続けられているとご理解いただければと思います。
一方で、美術館はコロナ時代を生きる私たちに大切なことを教えてくれます。美術館は、さまざまな国籍・人種による多種多様な表現と出会える場です。つまり、「多様性を認め合う場」といえます。今、日本ばかりでなく、世界は「多様性を否定」する方向にじりじりと動いています。世界中の美術作品がそれに異議を唱え、警鐘を鳴らしています。美術館で目をしっかりと見開き、耳を澄ませれば、その訴えが心に響いてくるでしょう。
ちょっと硬い話になってしまいました。まずは、生まれ変わった石神の丘美術館を心ゆくまでお楽しみください。