当館が発行している小さな情報紙「石神の丘美術館通信 イシビ」にて連載中の、芸術監督・斎藤純のショートコラムをご紹介します。
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石神の丘美術館芸術監督・斎藤 純のショートコラム vol.190
2カ月から3カ月に一度くらいのペースで東京に行っては展覧会巡りをしています。これは、コロナ期を除いて20数年にわたって続いている習慣です。今回は去年から大いに楽しみにしていたアンドリュー・ワイエス(1917-2009)の展覧会について触れます。
ワイエスはアメリカの国民的画家ですが、日本での人気もひじょうに高く、ほとんどの代表作を日本の美術館や収集家が所有しています。このたびの展覧会では丸沼芸術の森のコレクションを中心にたくさんの作品を観ることができました。この規模の展覧会は2008年以来だと思います。つとに知られたオルソンハウス・シリーズでは「失われ行く原風景」を残そうとしたワイエスの眼差しと頑なともいえる姿勢とが胸に迫ってきました。気がつくと私は2時間も展示会場をうろうろしていたのでした。
ワイエスを観ながら藤井勉さん(1948-2017)のことを思いだしました。藤井さんはワイエスに大きな影響を受けた画家です。2011年の秋に石神の丘美術館で藤井さん個展(『藤井勉展 -生命と大地-』)を開催したときに、「ワイエスの作品はドラマチックですが、藤井さんは作品にあえてドラマ性を持たせないようにしていますよね」と以前から感じていたことをお伝えすると、「ドラマは作品を観る人の心の中にあればいいんだよ」とおっしゃられたことを昨日のことのように覚えています。
ともあれマイブーム・ワイエスがつづいていて、いつかワイエスが愛したオルソンハウスのあるメイン州クッシングを訪れてみたいと夢想している今日この頃です。

2026年08月12日 Wednesday







