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芸術監督のショートエッセイ 石神の丘から vol.114

美術館で毎月発行している小さな情報誌
「石神の丘美術館通信ishibi《いしび》」にて連載中の、
芸術監督・斎藤純のショートエッセイをご紹介します。

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石神の丘美術館芸術監督・斎藤純のショートエッセイ
「石神の丘から vol.114」

 

私が岩手町立石神の丘美術館の芸術監督に就任したのは2009年4月でしたので、来月でちょうど10年を迎えます。

この機会にざっと振り返ってみたいと思います。

 

石神の丘美術館は県北地域では唯一の美術館です。

また、全国的にも珍しい町立の美術館です。

地方の美術館は「美術のことだけをやっていればいい」というわけにはいきません。

人口が減り続けていく中で交流人口の創出、ひいては地域活性化の拠点としての役割も担っていることを充分に認識し、重視してきました。

 

地域の活性化の基本は、まず地元をよく知ることです。

地元学とも呼ばれるそれは地元を再発見することでもあります。

博物館的な企画展に力を入れてきたのは、その反映です。

『玉菜(キャベツ)にまつわる資料展』、『岩手町大百科展』、『北緯40度展』などは本来の美術館の守備範囲から大きくはみだした内容ですが、地元学の実践と地方からの文化発信という役目の一端を果たしたと自負しています。

 

また、就任当初に表明した「自然と芸術」というコンセプトを実現したものとして、『瀬川強写真展』は自然と芸術がみごとに融合した内容でした。

 

これまで彫刻や絵画といった「美術」だけでなく、写真やポスターなどにも目を向けてきたように、今後はさらに岩手発の商業デザインや工芸品といったジャンルも扱っていきたいと考えています。

 

このような活動を通して石神の丘美術館は、「地域にとって美術館とは? 美術館が果たす役割は何か?」という問いに対する答えを示してきたともいえます。

その結果、石神の丘美術館は美術関係者ばかりではなく、「まちづくり」に取り組んでいる多くの方々からも注目され、高い評価を得ています。

この小さな美術館が岩手町の総人口1万3500人を超える2万人もの入館者にお越しいただいていることは「美術館のある町・岩手町」の大いなる誇りといっていいでしょう。

 

ともあれ、美術館の運営に関して素人だった私が今日までこうして続けてこられたのは、町民ならびに岩手町役場のみなさん、石神の丘美術館を指定管理している岩手町ふるさと振興公社のみなさん、そして石神の丘美術館ファンのみなさんのおかげです。

特に美術館のスタッフにはこの場を借りて感謝したいと思います。

 

現在、野外展示場は来年初夏のリニューアルオープンに向けて工事中です。

大好きな散策路を歩けないのは私も残念ですが、さらに充実した美術館を目指していますので、どうぞご期待ください。

 

今後ともよろしくお願いします。

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